スペシャルインタビュー

従来の小・中学校の枠組みにとらわれない、9年間の一貫した教育を展開する「和歌山市伏虎義務教育学校」

「和歌山市伏虎義務教育学校」では「心豊かで、自ら学び、夢と希望を持ってたくましく生きる人間の育成」という学校教育を掲げ、9年間を通した質の高い小中一貫教育を行っています。

今回、2020(令和2)年度より校長に就任した十河秀彰先生に、伏虎義務教育学校の特徴や将来の展望についてお話を伺いました。

十河秀彰 校長先生
十河秀彰 校長先生

ーーまずは「伏虎義務教育学校」の沿革について教えてください。

本校は近隣の小中学校が統合し、かつて「城北小学校」と「城北公園」があったこの地で、2017(平成29)年4月1日、和歌山県初の義務教育校として開校しました。2020(令和2)年6月現在の生徒数としては前期が約520名、後期が約220名の全742名です。各学年3クラスあり、特別支援学級は6クラスあります。さらに「若竹学級」と名付けられた学童保育は100名もの生徒が利用しています。

校舎外観
校舎外観

ーー「伏虎義務教育学校」に赴任が決まった時はどのような心持ちでしたか?

和歌山市で唯一の義務教育校ということもあり、本校が果たす役割は大きいと感じ、まさに身が引き締まる思いでした。気概を持って職務に務めたいと考えています。本校に通う子どもたちはみんな純粋で、優しい心を持っています。私が教室に立ち寄った際には、笑顔であいさつをしてくれ、学校での時間は幸せそのものです。

広い運動場。奥にはテニスコート、プール、学校菜園がある。
広い運動場。奥にはテニスコート、プール、学校菜園がある。

ーー貴校の教育カリキュラムの特徴を教えてください。

本校は小学校課程を「前期」、中学校課程を「後期」と名づけ、9年後の出口を見据えた教育を各学年連携し合い行っています。さらに、1年から4年までを1期、5年から7年までを2期、8年から9年を3期という3つの期間に分けています。

1期は担任の指導を中心に基礎・基本を徹底した学習で、思考力や表現力、判断力のもととなる力を育てるカリキュラムです。2期は論理的な思考が芽生えてくる時期なので、教科担任制を含めながら、教科の専門性を高めていきます。そして、3期は将来の進路や自分の生き方を考える期間と位置づけ、キャリアを見据えた教育を行います。

白を基調とした広い廊下
白を基調とした広い廊下

ーー特に力を入れている教育があれば教えてください。

開校当時から「わかやま創造科」・「外国語教育」・「理数教育」という3つの柱を掲げています。

「わかやま創造科」は総合的な学習の時間を利用して、和歌山のひと・もの・ことを題材に、系統的・継続的な学習を展開することで、主体的・協働的・探究的に学ぶ力の育成を目指しています。

「外国語教育」では1年生から外国語に慣れ親しむ機会を作り、国際社会の中で生きていく資質や能力を育てる機会としています。さらに和歌山市の姉妹都市であるカナダのリッチモンド市にある中等学校とホームステイを通じて双方に交流できる機会があります。

3つ目の「理数教育」では科学的、論理的なものの見方や考え方の基礎を養い、思考力、判断力、表現力を育む教育に努めています。

吹き抜けの図書室。週に2日、図書館司書が来て、本の分類や整理を行っている。
吹き抜けの図書室。週に2日、図書館司書が来て、本の分類や整理を行っている。

ーー学校設備の特徴を教えてください。

各学年の教室の配置については開校前からずいぶん協議をしました。その結果、2階には1・2年生と8年生、3階には3・4年生と9年生、4階には5・6年生と7年生と、それぞれを補え合える学年の配置になっています。高学年の子どもが低学年の子どものお手本になり、高学年の子どもにとっても、下の学年と触れ合って、優しい気持ちが生まれるきっかけになっていると感じています。

また、「教師ステーション」という先生たちが次の授業の準備をしたり、子どもたちの相談活動などに利用したりできる場所を職員室とは別に設けています。子どもたちにとっても、先生に声をかけやすい仕組みの一つです。

小中一貫校なので音楽室や理科室は複数ありますし、3階には体育館が、4階には武道場がある独特な構造となっています。空調設備のある体育館としては和歌山市初です。

教室を挟むようにある教師ステーション。読書スペースも完備。
教室を挟むようにある教師ステーション。読書スペースも完備。

空調設備が整った体育館
空調設備が整った体育館

ーー学校行事でも他学年との交流は意識されていますか?

運動会を1年生から9年生まで全学年で一緒になって行っており、とても盛り上がります。入学式では9年生が1年生に名札を付けてあげて、手をつないで入場します。

また、本校の特徴として6年生で卒業式がありません。その代わりに、進級式を行っています。7年生からは制服の着用が必須となるので、気持ちが入れ替わる機会になっています。

光が差す心地よい中庭
光が差す心地よい中庭

ーー貴校では地域の方との交流を意識した取り組みはありますか?

「わかやま創造科」において、自分たちが住んでいる街を知り、地域の方から話を聞き、課題を考え、解決方法を発表する機会を設けています。その延長として、「和歌山市」駅の活性化について子どもたちが独自に考えた案を和歌山市と南海電鉄さんに提案させていただきました。紙芝居でのプレゼンやマスコットキャラクターのアイデアなど子どもたちも積極的に取り組んでいます。子どもたちから発信したアイデアが実現できれば、達成感を得られますし、地域のことを考えるきっかけになるので、これからも進めていきたいと考えています。

また、普段の交流として、社会福祉協議会や老人会、婦人会といった地域の方が通学の見守りを毎日行ってくださっています。子どもたちの安心、安全のために取り組んでいただき大変感謝しております。

そのほか定期的ではありませんが、昔遊びを教えてきてくださる地域の方もいらっしゃいますし、職業体験の際には地域の幼稚園や保育園の方々にご協力いただき、子どもたちが地域の方々と交流する機会となっております。

広い階段スペース
広い階段スペース

ーー今後、力を入れて取り組んでいきたい活動について教えてください。

「わかやま創造科」・「外国語教育」・「理数教育」という3つの柱を維持しながら、子どもたちに生き抜く力をつけていきたいと思っています。受動的な学習だけではなく、自ら主体的に自分の課題を見つけて解決していける力をつけられるような教育活動を推進していきます。

十河校長先生
十河校長先生

ーー最後に、十河校長先生が感じる和歌山市の魅力を教えてください。

昔からある商店街や街並みは独特なものがあります。特に和歌山市のシンボルである「和歌山城」では、春は桜、初夏は紫陽花、秋は紅葉など、四季折々の美しさを感じることができます。

さらに本校は3つの地域を統合しているので、それぞれの地域で夏祭りがあり、子どもが楽しめる機会もたくさんあります。まさに子育てとしては素晴らしい環境だと思います。

和歌山市伏虎義務教育学校

校長 十河秀彰先生
所在地:和歌山市鷺ノ森南ノ丁1
電話番号:073-435-5115
URL:https://www.wakayama-wky.ed.jp/fukko/
※この情報は2020(令和2)年7月時点のものです。